矯正治療に時間がかかる理由

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矯正治療に時間がかかる理由

矯正治療にかかる期間の目安

矯正治療にかかる期間の目安

歯列矯正を考えている方の多くが気になるのは「治療期間」ではないでしょうか? 矯正治療の期間や、早く終わらせるためのポイントについて解説します。

治療の種類や歯の状態によって異なる

矯正治療の期間は、治療の種類や歯の状態によって異なります。

部分矯正
6~10ヶ月
全体矯正
2~3年半程度

実際の治療期間は、歯をどの程度動かす必要があるかによって変わります。 短い距離なら早く、長い距離なら時間がかかります。 また、年齢や現在の歯の状態も影響します。 虫歯や歯周病がある場合は、矯正治療前に治療が必要となります。

矯正治療を早く終わらせるために

矯正治療をおこなうことで「整った歯並びへ改善」や「正しい噛み合わせの確立」といったメリットを得られる一方で、「時間がかかるのでは」と心配される方も多いでしょう。

そこで、治療期間を短縮するためのポイントを3つ紹介します。

1)定期的な通院を守る
矯正装置の調整は、決められたスケジュールで行うことが重要です。
2)歯のケアを徹底する
虫歯や歯周病が発生すると、治療を中断しなければならないことがあります。
3)矯正医の指示をしっかり守る
ゴムかけやリテーナーの装着など、指示されたことをきちんと守ることでスムーズに治療が進みます。

治療期間に関わる矯正の仕組み

治療期間に関わる矯正の仕組み 治療期間に関わる矯正の仕組み

実際の治療期間は、歯をどの程度、どのように動かすかによって大きく異なります。矯正治療が時間を要する理由を理解するために、歯の動く仕組みを知っておきましょう。

人間の歯には、歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる歯根を支える骨があり、さらに歯槽膜(しそうまく)という繊維状の膜によって歯が支えられています。

  • 歯根膜に
    矯正力が加わる
  • 歯根膜がその方向へ
    伸縮する(厚みを調整)
  • 骨代謝(歯槽骨の
    破壊と再生)が起こる
  • 歯が少しずつ
    移動する

このように時間をかけて、徐々に歯を動かしていきます。

矯正治療で行う主な歯の動かし方

  1. 水平移動させる

    水平移動させる

  2. 傾斜移動させる

    傾斜移動させる

  3. 回転させる

    回転させる

  4. 引っ込める

    引っ込める

  5. 引っ張り出す

    引っ張り出す

多くの症例を通して経験を積んだ矯正医は、一つひとつの歯の動きを丁寧に計算しながら、目的の方向へ歯を動かし、正しい歯並びと噛み合わせを作っていきます。

抜歯が必要な場合の
治療期間の考え方

抜歯後に水平に動かすことが重要

抜歯を伴う矯正治療において特に重要なポイントは、抜歯したスペースに隣の歯を水平方向に移動させることです。 この水平移動を精密に行うには、ワイヤー矯正が最も適しています。

マウスピース型矯正装置の限界

マウスピース矯正は歯を傾斜させる移動が中心となるため、水平な歯の移動が難しく、抜歯を伴う矯正治療では一般的に適応が限られます。

一見するとマウスピース矯正は治療期間が短く簡単に感じられますが、これは主に傾斜移動のみを行っているためであり、結果として歯の位置や角度に妥協が生じる可能性があります。

マウスピース型矯正装置のリスク

マウスピース型矯正装置での矯正治療後は、後戻りや歯と歯ぐきの間に隙間が生じるなどのリスクが高まる傾向があります。

歯体移動と傾斜移動

従来のブラケットを用いたワイヤー矯正では「歯体移動」をおこないます。ワイヤーでスクラムを組んで、歯の頭だけではなく、足元も一緒に全体を移動させるのです。

従来のブラケットを用いたワイヤー矯正では「歯体移動」をおこないます

しかしマウスピース型矯正装置では傾斜移動になります。歯に帽子をかぶせて、頭だけを引き寄せている状態です。頭は動いても、足元はそのままです。

しかしマウスピース型矯正装置では傾斜移動になります

正確な診断と装置の選択

矯正治療においては、装置の種類を先に決めるのではなく、まず正確な診断を行い、どの位置にどのように歯を動かす必要があるかを明確にした上で、それに最も適した装置を選択することが非常に重要です。

ワイヤー矯正が選択される理由

このプロセスを適切に踏まえると、抜歯を伴うような精密な移動が必要な症例では、現実的にワイヤー矯正が選ばれることが多くなります。

もしマウスピース矯正ばかりを行うクリニックがある場合は、「簡単」や「早い」などのイメージだけで装置を推奨しているか、またはマウスピースで治療可能なごく限られた症例のみを扱っている可能性があります。

当院では、患者様お一人おひとりの状態に応じて、適切な装置の提案に努め、妥協のない治療結果を目指しています。

なぜ治療期間が長いのか

なぜ治療期間が長いのか

矯正治療は短期間で完了するものではなく、平均して2年以上かかることが一般的です。 その理由として、以下の5つのポイントが挙げられます。

1. 歯を支える骨の作り替え(骨代謝)に
時間がかかる

歯の移動は、骨代謝という生体の自然な仕組みにより進行します。 歯を支える骨が一度壊され、新しく再生されるプロセスは月単位でゆっくり進むため、調整は月1回程度の頻度で行われます。

2. ゆっくり適切な力をかける必要がある

歯を急いで動かそうと強い力を加えると、激しい痛みや歯茎の退縮、歯のぐらつきなどの問題が生じる可能性があります。 歯や周囲の組織への負担を最小限に抑え、安全で確実な治療を進めるには、弱く安定した力でじっくり時間をかけることが重要です。

3. 歯の根を動かす水平移動には
特に時間がかかる

矯正治療では、歯を傾けるだけでなく、歯の根ごと水平に動かす必要があります。 根の部分を動かすには非常に長い時間がかかるため、見た目にあまり変化がないと感じる時期がありますが、この間も骨の中で根が少しずつ移動しています。

4. 後戻りを防ぐための保定期間が必要

矯正治療には歯を動かす「矯正期間」と、歯が元の位置に戻ろうとするのを防ぐ「保定期間」があります。 リテーナーを使用し、矯正で得られた歯並びを安定させるための期間で、通常、矯正期間と同じくらいの長さが必要となります。

5. 子どもの矯正は個々の成長に
左右される

子どもの矯正治療は、歯の生え変わりの時期、顎の成長スピード、身長が急激に伸びる成長スパートなど、個人ごとの成長ペースに合わせて進められます。 これらの成長のタイミングは一人ひとり異なり、予定していた治療期間を超えることも珍しくありません。 そのため、子どもの成長状況を注意深く観察し、最適なタイミングで治療を調整しながら進めることになります。 

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